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システム開発とアプリケーション開発の違いとは?開発する目的とポイントを解説

2023.07.12

「システム開発」と「アプリケーション開発」はよく聞く用語ですが、どのような違いがあるのかご存じでしょうか。

システム開発とアプリケーション開発では、開発目的や活用方法などさまざまな違いがあります。

本記事では、システム開発とアプリケーション開発の違いをはじめ、各開発の種類や目的などをご紹介します。

そのほか、システム開発とアプリケーション開発の手法について解説するので、システムまたはアプリケーション開発を検討している方はぜひ参考にしてください。

システム開発とアプリケーション開発の違いとは?

システム開発とアプリ開発の違いとは?

「システム開発」と「アプリケーション開発」の違いについて、説明できるか不安な方もいるでしょう。これからシステム開発またはアプリケーション開発を進める場合、知識を身につけるためにも違いを明確に理解しておくと良いでしょう。

本記事では、システム開発とアプリケーション開発の違いを解説するため、各開発の種類や開発する目的をご紹介します。自社の課題を解決するためにどちらを開発すべきかはっきりしていない方は、ぜひ参考にしてください。

システム開発とは

システム開発とは

システム開発とは、ビジネスや組織の要件に合わせて、ソフトウェアやハードウェアの組み合わせによってカスタムされたシステムを設計、構築、展開するプロセスです。

システム開発では、要件定義、設計、プログラミング、テスト、デプロイメントなどの工程を経てシステムを作り上げます。ビジネスの競争力向上や効率化を実現する重要なプロセスとなっています。

システムの種類

ここでは、システムの種類を3つご紹介します。

Web系

Web系システムとは、Webブラウザを介してアクセスされ、インターネット上で動作するシステムのことです。Web技術を活用して、ユーザーがリモートで情報の閲覧、データの入力、処理、共有、コミュニケーションなどを行えるように設計されています。

一般的なWeb系システムには、オンラインショッピングサイト、ソーシャルメディアプラットフォーム、企業のWebポータル、オンラインバンキングシステムなどがあります。

またクラウドインフラストラクチャを活用することが一般的であり、スケーラビリティや可用性の向上、セキュリティの強化などメリットはさまざまです。

オープン系

オープン系システムは、異なるベンダーや開発者が提供するハードウェアやソフトウェアのコンポーネントを組み合わせて構築されるシステムのことです。相互運用性や拡張性を重視し、ユーザーが異なるベンダーからの製品や技術を自由に選択して利用できるように設計されています。

オープン系システムには、オープンソースソフトウェアやインターネットプロトコル、オープンなハードウェアプラットフォームなどがあります。

オープン系システムでは、ハードウェアやソフトウェアの仕様が一般的に公開されている技術を利用するケースが多いです。
このため、オープン系システムは、システム間の相互連携を行いやすく、柔軟性や選択肢の幅が広いことが特徴です。

オープン系システムの利点は、ユーザーが最適なソリューションを選択できることです。また、オープンな規格やプロトコルを使用することで、ベンダーロックインのリスクを軽減し、将来的なシステムの変更やアップグレードが容易になります。

汎用系

汎用系システムとは、汎用機を使用して開発するシステムのことです。汎用機とは、かつて大型企業でよく使われていた大型のコンピュータを指します。

汎用機を使用すると、大規模なデータ処理ができ、信頼性とセキュリティが高いシステムがつくれるでしょう。高性能なシステムを開発したい方におすすめです。

ただし汎用系システムは、高価で複雑なシステムであるため、専門的な知識が必要です。

開発する主な目的

ここでは、システム開発を行う主な目的を3つご紹介します。

業務の効率化

システム開発によって、業務を自動化したり、データの入力や管理を効率化したりできる可能性があります。結果的に、従業員の負担を軽減して生産性の向上につながることもあるでしょう。

システム開発で得られる具体的な効果には、受発注システムの導入による受注・発注業務の自動化、顧客管理システムの導入による顧客情報の管理効率化、会計システムの導入による経理業務の効率化などがあります。

またシステム導入により会社全体の効率がアップすれば、問い合わせ対応のスピードが上がるなどで、顧客満足度の向上につながる可能性も高まります。

セキュリティ対策の強化

セキュリティを高めることで、組織や個人のデータや資産の保護、機密性・完全性・可用性の確保などにつながります。潜在的な脅威や攻撃からシステムを守ることで、情報漏洩、データ破壊、サービスの停止などのリスクを最小限に抑えられます。

またセキュリティ対策の強化は、法的および規制要件に適合するためにも重要です。特定の業界や地域では、個人情報保護法やセキュリティ規制が存在し、それらに準拠する必要があります。データの保護、監査ログの収集、セキュリティポリシーの策定と実施などを含みます。

ユーザビリティの向上

システム開発におけるユーザビリティの向上は、ユーザーの利便性や満足度を高めることを目的とした取り組みです。ユーザビリティは、システムやアプリケーションが使いやすく、効率的に操作できるかどうかを示す指標です。

ユーザビリティの向上は、システムの成功やユーザー体験の向上に直結する可能性があります。使いやすく直感的なインターフェースや操作手順は、操作ミスや混乱を最小限に抑えられます。ユーザーが正確な情報を入力することで、誤った操作による不良結果や損失を回避できるようになるでしょう。

アプリケーション開発とは

アプリケーション開発とは

アプリケーション開発とは、モバイルデバイスやコンピュータ上で動作するアプリケーションを設計、開発、展開するプロセスです。

アプリケーション開発は、システム開発のひとつに分類されます。アプリケーション開発は単一のアプリケーションを開発することを目的としており、システム開発の延長線と考えるとよいでしょう。

アプリケーション開発では、ユーザビリティの重視やモバイルフレンドリーなデザイン、高性能な機能やパフォーマンスの実現が求められます。

アプリケーションの種類

ここでは、アプリケーションの種類を2つご紹介します。

Webアプリ

Webアプリは、Webブラウザを通じてインターネット上で動作するアプリケーションのことです。従来のデスクトップアプリケーションとは異なり、Webアプリはインターネットに接続されたデバイスからアクセスできます。

Webアプリには、オンラインショッピングやソーシャルメディア、オンラインバンキング、オンライン予約などの機能が備わったものがあります。

またWebブラウザ上で実行されるため、特別なソフトウェアのインストールやアップデートは必要ありません。ユーザーはブラウザを開いて検索するだけで、Webアプリにアクセスして利用できます。

ネイティブアプリ

ネイティブアプリは、特定のプラットフォームに最適化されて開発されたアプリケーションのことです。モバイルデバイスやデスクトップコンピュータなど、特定のプラットフォーム上で直接実行されます。

ネイティブアプリには、モバイルアプリやデスクトップアプリなどがあります。モバイルアプリはiOSやAndroidなどで動作するアプリケーションで、デスクトップアプリはWindows、macOS、Linuxなどで動作するアプリケーションです。

またネイティブアプリの利点には、高いパフォーマンス、ネイティブAPIへのアクセス、豊富な機能、オフラインでの利用があります。ネイティブアプリはプラットフォームの要件に密接に統合されているため、特定のプラットフォームの最新の機能やセキュリティパッチに迅速な対応が可能です。

開発する主な目的

ここでは、アプリケーションを開発する主な目的を4つご紹介します。

ユーザーエクスペリエンスの向上

ユーザーエクスペリエンスは、ユーザーがアプリケーションを使用する際に得る全体的な体験や感情のことを指し、使いやすさ、満足度、魅力などの要素を含みます。

アプリケーションの使いやすさや魅力が向上すると、ユーザーはより満足した体験を得られるでしょう。ユーザー満足度の向上は、アプリケーションの成功やユーザーロイヤルティの向上につながります。

また使いやすく魅力的なアプリケーションは、ユーザーの参加度や利用頻度を高められるでしょう。ユーザーがアプリケーションに興味を持ち、頻繁に使用する傾向があるため、アプリケーションの普及や成果が促進する可能性があります。

モバイルアクセスの提供

モバイルアクセスの提供とは、ユーザーがスマートフォンやタブレットなどを使用してアプリケーションにアクセスできるようにすることです。モバイルデバイスを用いてどこでもアクセスできるようにすると、利便性やアクセスの自由度が向上します。

モバイルアクセスを提供するアプリケーションは、一部または全部の機能をオフラインで利用できます。モバイルデバイスにアプリケーションのデータを保存し、ネットワーク接続がなくてもアプリケーションを使用できるため、ユーザーの生産性や利便性が向上するでしょう。

またモバイルデバイスは、GPSやカメラ、加速度計、指紋認証など、多くの機能を備えています。これらの機能を活用することで、位置情報サービスやカメラを使用したアプリケーションを開発できます。

顧客関与とロイヤリティの向上

顧客関与とは、顧客がアプリケーションに積極的に参加し、アプリケーションとの関係を継続的に築くことです。ロイヤリティは、顧客が特定のアプリケーションに対して忠誠心を持ち続けることを意味します。

顧客関与とロイヤリティが向上することで、アプリケーションを通じて顧客との関係を継続的に築き、長期的な顧客関係を構築できます。顧客の満足度や忠誠心が向上すれば、結果的にアプリケーションとの結びつきが強まるでしょう。

また顧客関与の向上は、顧客からの参加やフィードバックを活用する機会を提供します。顧客がアプリケーションに参加して意見や要望を提供することで、アプリケーションの改善や新機能の開発に活かせます。

ビジネス成果の向上

ビジネス成果の向上とは、アプリケーションを通じて企業や組織の業績や目標を達成することを意味します。アプリケーションがビジネス成果の向上に貢献することで、収益増加、生産性向上、市場シェアの拡大などの利益をもたらします。

アプリケーションを通じてデータを収集すると、それを可視化してビジネス上の洞察を得られます。データ分析により、市場動向や顧客行動の理解、ビジネス上の傾向やパフォーマンスの把握が可能です。意思決定や戦略立案の根拠となるデータに基づいた判断が行えます。

またアプリケーションは、ブランドの価値やイメージを向上させるツールとして活用できます。優れたデザイン、使いやすさ、パーソナライズされた体験などを通じて、顧客にブランド価値の提供が実現します。

システムとアプリケーションの開発手法

システムとアプリケーションの開発手法

システム開発またはアプリケーション開発を検討している方は、開発手法についての知識を深めましょう。

システムとアプリケーションの開発手法を4つご紹介します。

ウォーターフォール開発

ウォーターフォール開発は、開発プロセスを直線的なフローに沿って進める手法です。

開発プロセスは、要件定義、設計、開発、テスト、展開の順序です。各フェーズが次のフェーズに進む前に完了する必要があり、各フェーズの進行は前のフェーズの成果物に基づいています。

プロジェクト全体の概要が明確になり、マイルストーンや納期の設定が容易です。ただし、変更への対応が難しく、顧客のフィードバックの組み込みや柔軟性に欠けるというデメリットがあります。

アジャイル開発

アジャイル開発は、柔軟性と迅速な反応性に重点を置いている手法です。

開発プロセスは反復的で、短期間のスプリントと呼ばれる周期で進行します。各スプリントでは、要件の洗練、設計、開発、テストが行われ、顧客や利害関係者からのフィードバックを得て改善されます。

開発チームと顧客との協力と信頼関係が重要であり、変化への適応能力が高く柔軟な開発が可能です。ただし、要件の変更やスケジュールの調整が頻繁に行われるため、十分な計画と管理が必要です。

プロトタイプ開発

プロトタイプ開発は、早期にアイデアやコンセプトを具現化することを重視する手法です。

開発プロセスでは、要件の収集と分析を行った後、簡易なプロトタイプを作成してユーザーに提示してフィードバックを得ます。ユーザーのニーズや要求を正確に把握し、システムの機能やユーザーエクスペリエンスを評価できます。

アイデアの検証やリスクの低減に効果的であり、要件の明確化やコミュニケーションの改善にも役立ちます。ただし、開発プロセスが短期間で行われるため、品質管理や文書化が重要です。

スパイラル開発

スパイラル開発は、リスク管理と反復的なプロセスを組み合わせた手法です。

開発プロセスは螺旋状に進行し、各ステップでリスク評価、プロトタイピング、顧客とのコミュニケーションを行います。初期のフェーズでは要件の収集と分析が行われ、その後プロトタイプの開発とテストが行われます。次に、顧客との評価やフィードバックを基にリスクを評価し進行します。

リスクの低減とプロジェクトの制御が重視され、柔軟な変更への対応と早期のリリースが可能です。ただし、リスク評価とリスク管理に十分なリソースと経験が必要です。

システムとアプリケーションの開発手順

システムやアプリケーションの開発を検討している方は、事前に手順を確認しておくとスムーズに進められるでしょう。

ここでは、システム開発とアプリケーション開発の手順をご紹介します。

1.企画考案・要求定義

システム開発やアプリケーション開発の最初の段階では、プロジェクトの目的や目標を明確にして企画を立てます。プロジェクトの背景や必要性、想定される利用者などを検討し、何を達成するかを明確にしましょう。

プロジェクトの範囲やスケジュール、予算などの基本的な要素を決定するために、ステークホルダーとのコミュニケーションが重要です。

また企画が完成したら、次にシステムやアプリケーションの要件を定義します。要求定義では、システムやアプリケーションがどのような機能を持つべきか、利用者に提供する価値は何か、システムの制約や制限事項は何かなどを洗い出しましょう。

企画考案や要求定義には、十分な時間とリソースをかけることが大切です。要求定義が不十分だと、後の段階での変更が多発し、コストと時間の増大や品質の低下につながる可能性があります。

2.要件定義

要件定義では、プロジェクトの目的と目標を明確に定義し、成功基準を設定します。これにより、プロジェクトチーム全体が一貫した方向性を持ち、取り組むべきタスクを理解できるでしょう。

システムやアプリケーションのユーザーが何を求めているかを把握し、それに基づいて機能や要件を洗い出します。ユーザーの視点からの要件定義は、最終的な成果物の品質向上につながるでしょう。

また要件定義の過程で、プロジェクトに影響を与える可能性のあるリスクを特定し対策を検討することも重要です。

要件定義の段階で不足や誤りが見つかると、後の開発ステージでの変更が膨大になり、プロジェクトの進捗や品質に悪影響を及ぼすことがあります。したがって、要件定義は慎重かつ綿密に行いましょう。

3.基本設計・詳細設計

基本設計は、要件定義の結果をもとに、システムやアプリケーションの全体的な構造やアーキテクチャを設計します。システムの主要なコンポーネントやモジュール、データベースの構造、インタフェースの定義などが含まれます。

ユーザーとシステムのやり取りを定義し、ユーザーがシステムを操作するための画面や入力項目などを設計しましょう。システムのセキュリティ対策を考慮し、認証・認可の仕組みやデータの保護などを定義します。

基本設計では、システム全体の構造やアーキテクチャを確定させるために、プロジェクトチームやステークホルダーとのコミュニケーションが重要です。

また詳細設計は、基本設計の結果を元に、個々のモジュールやコンポーネントの具体的な仕様を詳細に定義する段階です。基本設計で定義されたコンポーネントの内部構造や処理の流れ、データフローなどを具体的に設計しましょう。

詳細設計の正確性や完全性は、実際の開発工程での効率と品質に大きな影響を与えます。

4.プログラミング

プログラムを記述するために、使用するプログラミング言語を選択します。一般的なプログラミング言語にはPython、Java、C++、JavaScriptなどがあり、それぞれ開発の性質や目的に応じて異なる特性を持っています。

プログラムの設計書や仕様書を元に、選択したプログラミング言語でコードを記述しましょう。コーディングは、システムの各要件を実現するための命令やアルゴリズムをプログラムとして表現する作業です。

またプログラムのコードや仕様を適切にドキュメント化することは、他の開発者やメンテナンス担当者にとって重要です。ドキュメンテーションにより、コードの理解や変更・改善のための手がかりが提供されるでしょう。

5.テスト

システム開発後のテストは、単体テストと結合テストの2つに分けられます。

単体テストは、システムやアプリケーションの最小単位であるユニットを個別にテストする作業です。開発者が書いた各ユニットの機能をテストし、その動作が仕様に合致しているかを確認します。

一方で結合テストは、複数のユニットが組み合わさった際の相互作用をテストする作業です。個々のユニットが単体テストをクリアした後、それらを組み合わせて連携を確認します。システム全体の動作やインターフェースの一貫性を確認するために行われます。

単体テスト結合テストがともにクリアできた場合は、システム全体の機能と性能をテストしましょう。システム全体のテストでは、ユーザーやステークホルダーの視点からシステムの期待通りの動作を検証します。

またテストが十分に行われないと、バグや問題が本番環境で発生するリスクが高まり、コストと時間が増加する恐れがあります。

6.リリース

ドキュメンテーションの整備、バックアップの取得などが完了したら、開発したシステムやアプリケーションをリリースできます。リリースの際には、ダウンタイムを最小限に抑えるように実施することが重要です。

リリース後には、ユーザーからのフィードバックや問題報告に対応し、必要な修正や改善を行うサポートとメンテナンスを実施しましょう。バグ修正やセキュリティアップデートなど、リリース後もソフトウェアの品質を保つための作業が継続的に行うことが大切です。

またリリースはソフトウェア開発プロセスの最終段階であり、ユーザーに価値を提供するために不可欠なステップです。十分なテストと準備を行い、リリース後のサポートを確保することで、安定したソフトウェアの提供を実現できます。

まとめ

システム開発では、Web系、業務系、組み込み系などのさまざまなシステムの開発が行われます。目的は業務の効率化、セキュリティ対策の強化、ユーザビリティの向上などです。

一方、アプリケーション開発では、Webアプリ、ゲームアプリ、ネイティブアプリなどのさまざまなアプリケーションの開発が行われます。目的はユーザーエクスペリエンスの向上、モバイルアクセスの提供、顧客関与とロイヤリティの向上、ビジネス成果の向上などです。

システムとアプリケーションの開発手法には、ウォーターフォール開発、アジャイル開発、プロトタイプ開発、スパイラル開発などがあります。それぞれの手法は開発プロセスや進め方に異なる特徴があり、プロジェクトの性質や要件に合わせて選択されます。

システムやアプリの開発を検討している方は、それぞれの領域の特性を理解し、最適なソリューションを提供するために適切な開発手法を選択しましょう。