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システム運用の業務一覧|運用方法や運用設計のポイントをわかりやすく解説

2024.02.22

/最終更新日:

システム運用は、問題なく稼働されているか確認するのに大切な業務であり、自社に合った運用方法を取り入れることがポイントです。

本記事では、システムの運営方法や業務内容について解説します。

また、システム運用設定を行う際のポイントもお伝えするので、システムの開発を検討している場合は運用に備えて参考にしてみてください。

システム運用とは?

IT運用(システム運用)とは、稼働中のシステムを止めずに動かし続けるための日常業務の総称です。監視・バックアップ・障害対応・アカウント管理・変更作業といった定常業務を計画的に回すことを指し、「システム運用」「IT運用管理」もほぼ同じ意味で使われます。対して保守は、障害修正や機能改修などシステムそのものに手を入れる業務です。両者の違いと外部委託の考え方は システム保守の業務内容や運用との違い で詳しく解説しています。

システム運用は、コンピューターシステムやソフトウェアアプリケーションの継続的な稼働と管理を指します。運用は、システムが設計・構築された後も、日常的な運用業務や保守作業を通じて安定的に機能し続けるようにするための一連の活動を含みます。

主にシステムの健全性や性能を監視し、潜在的な問題を早期に検出します。リアルタイムでの監視は、障害や異常な状態に対する即座の対応を可能にするでしょう。

システム保守との違い

システム保守は、システムが安定して稼働するために必要なメンテナンスや修理の活動のことです。具体的には、バグ修正、セキュリティパッチの適用、データベースの最適化などが含まれます。

システムを正常に動作させることが目的である運用に対し、保守は必要に応じて修正や改善を行うことが目的です。システムの信頼性とセキュリティを保つことが焦点となります。

システム運用には、一般的にシステム利用者、監視担当者、サポートチームなどが関与します。システム保守には、開発者、セキュリティエキスパート、システム管理者などが関与するケースがほとんどです。

システムの運用方法

ここでは、システムの運用方法を2つご紹介します。

クラウド型

クラウド型のシステム運用は、コンピューターリソースやサービスをインターネットを通じて提供・利用する形態を指します。通常、データセンターやサーバーなどのインフラストラクチャーを自社で所有・運用する代わりに、クラウドサービスプロバイダーによって提供される仮想化されたリソースを利用することが特徴です。

クラウド型のサービスは、必要に応じて即座に利用可能であり、必要なリソースを柔軟に拡張・縮小できます。これにより、トラフィックの増減やビジネスの変化に対応しやすくなります。

クラウドプロバイダーは、多くのクライアントに対してリソースを提供し、これを複数のテナントで共有します。リソースの最適化やコストの効率向上が期待できるでしょう。

また、クラウドプロバイダーは自動化されたサービスやリソース管理を提供し、運用業務を簡素化します。プロビジョニング、スケーリング、監視、セキュリティの自動化が容易になるでしょう。

オンプレミス型

オンプレミス型のシステム運用は、組織や企業が自らの施設にサーバーやネットワーク機器を構築し、管理・運用する形態を指します。つまり、必要なハードウェアやソフトウェアリソースを自社のデータセンターなどに保有し、管理・運用するスタイルです。

ハードウェアが自社のデータセンター内に配置されているため、物理的なセキュリティ対策を自社で管理が可能です。そのため、セキュリティポリシーやアクセス制御が柔軟に設定できます。

オンプレミス環境では、ハードウェアやソフトウェアの構成を組織が自由にカスタマイズできます。特定の要件に合わせてシステムの調整が可能です。

ただし、ハードウェアやソフトウェアの購入、設置にコストがかかり、クラウド型と比べて初期投資が必要です。人材がいない場合は、必要に応じて運用・保守のための専門スタッフを雇う必要があります。

システム運用の業務一覧

ここでは、システム運用の業務について5つの項目に分けて解説します。

システムの監視

システムの監視は、コンピューターシステムやネットワーク、アプリケーションなどの動作や性能を定期的にモニタリングし、異常な状態や問題を早期に検知する業務です。監視の目的は、システムの正常な運用を確保し、障害やパフォーマンスの低下などが発生した場合には迅速かつ適切な対応を行うことです。

具体的には、サーバー、ネットワーク、データベース、アプリケーションなどの動作をリアルタイムに監視します。常に監視することで、異常が発生した場合に即座に対応が可能です。

また、システムやアプリケーションが生成するエラーログや警告メッセージを監視し、問題の早期発見や原因特定を行います。不正アクセスやセキュリティイベントの検知、異常なトラフィックの監視などを通じて、セキュリティの健全性を確認することも必要です。

セキュリティの監視

セキュリティの監視は、情報システムやネットワークに対する潜在的な脅威や攻撃を早期に検知し、適切な対応を行うための業務です。組織のデータやリソースを守り、セキュリティポリシーの順守を確認する重要な機能を果たします。

システムやネットワーク、アプリケーションから生成されるログを監視し、異常なアクティビティやセキュリティイベントを検知します。ログには認証の成功・失敗、アクセス試行、変更履歴などが含まれます。

また、システムやアプリケーションに対して定期的に脆弱性スキャンを行い、脆弱性の有無を確認します。発見された脆弱性に対しては、迅速に修正や対策を行うことが重要です。

データのバックアップ

データのバックアップは、情報システムやデータベース内の重要なデータを定期的に複製し、バックアップデータを保管することで、データ損失や災害に備えるための業務です。頻度やタイミングは、ビジネスの要件に応じて検討され、重要な変更があった場合には即座にバックアップを行います。

フルバックアップと前回のバックアップからの変更部分のみをバックアップしたものの組み合わせを活用することで、効率的なデータ管理が可能です。フルバックアップは完全な復元が可能である一方、差分バックアップはデータ量を抑えつつ迅速な復元が可能です。

バックアップデータは、元データとは別の場所に保存しましょう。クラウドストレージ、外部ハードドライブ、テープバックアップなど、複数の冗長な保存先を使用することで、データへのアクセスを確保しトラブルに備えます。

また、バックアップの失敗や異常な状態が発生した場合、それに対する適切な対応手順を文書化しておくことが重要です。スタッフが円滑に対応できるようにするためには、手順書やドキュメントの整備が不可欠です。

トラブル発生時の記録や対策

トラブルが発生した際には、発生した日時、影響を受けたシステムやサービス、具体的な症状やエラーメッセージなどを詳細に記録します。これにより、同じトラブルが再発した際や後での解析がスムーズに行えるでしょう。

トラブルの原因を迅速に特定するために、トラブル発生時の状況や事象を詳細に分析します。ログファイル、エラーメッセージ、ネットワークトラフィックなどを調査し、問題の根本原因を見極めます。

また、トラブル発生時の対応策は、文書化しておくことが重要です。同様のトラブルが再発した場合や新たなメンバーが参加した際にも、迅速な対応が可能となります。

運用マニュアルの最適化

運用マニュアルは、明確かつ簡潔な言葉で記述されるべきです。冗長な表現や不要な情報を排除し、読み手が迅速かつ正確に情報を理解できるようにすることが大切です。

システムやプロセスが変更された場合、運用マニュアルも迅速に更新しましょう。常に最新の情報を反映させ、古い情報が混在しないように管理することがポイントです。

また、実際のユーザーや運用担当者からのフィードバックを収集し、運用マニュアルの使いやすさや効果を評価します。ユーザーの視点を考慮して改善を加えることで、より使いやすいマニュアルを作成できるでしょう。

運用マニュアルは頻繁に検索される可能性が高いため、検索性を向上させる工夫が必要です。適切な索引やキーワード、章立てを設け、利用者が迅速に必要な情報にアクセスできるようにしましょう。

IT運用管理の業務体系|監視・障害対応・変更管理とITILの対応関係

前章の業務一覧を「日々の作業」として見たのに対し、ここではIT運用管理としての業務体系を整理します。運用が属人化する現場の多くは、個々の作業はできていても、この体系のどこが抜けているかを把握できていません。国際的な運用管理のフレームワークであるITIL(Information Technology Infrastructure Library)の区分に当てはめると、自社に足りない領域が見えやすくなります。

業務領域主な作業ITILでの対応
監視・イベント管理死活監視、リソース監視、アラート設計、しきい値の見直しイベント管理
障害対応一次切り分け、復旧、エスカレーション、記録インシデント管理
原因究明・再発防止恒久対策の検討、暫定対応との切り分け問題管理
変更・リリース設定変更、パッチ適用、リリース手順の管理と承認変更管理/リリース管理
構成管理サーバー・ライセンス・アカウントの台帳整備構成管理
サービスレベル管理稼働率・応答時間・復旧目標(RTO/RPO)の設定と報告サービスレベル管理
要求対応アカウント発行、権限変更、問い合わせ一次受けリクエスト管理

すべてを一度に整える必要はありません。実務では「障害対応」と「変更管理」だけが回っていて、構成管理とサービスレベル管理が空白という状態が最も多く、この2つが無いために「誰も全体像を知らない」「何をもって正常とするかが決まっていない」という属人化が起きます。まずは台帳と稼働目標を明文化するところから着手するのが現実的です。

なお、運用ルールを決めても現場で守られなければ意味がありません。定着させる観点は システム導入後の定着を阻む5つの落とし穴 を参照してください。

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システム運用設計を行う際のポイント

ここでは、システム運用設計を行う際のポイントを3つご紹介します。

運用手順を明確にする

運用手順は、想定されるさまざまなシナリオやユースケースに対応するように設計することがポイントです。通常運用だけでなく、異常事態や障害発生時の手順も明確に示します。

通常の運用手順に加え、トラブルが発生した場合のシステムの復旧手順やトラブルシューティング手順を運用手順に組み込みます。各作業や操作に必要な権限や責任も明確にしておくことで、誰に相談すべきか報告すべきか判断しやすいです。

また、運用手順は優先順位を考慮して設計しましょう。重要度や緊急性に応じて手順を優先的に実施できるようにし、必要な場合には進捗状況を報告する仕組みも組み込みます。

新規メンバーのトレーニングや復習のために、運用手順に基づいたトレーニング用資料を作成しておくと良いでしょう。手順が理解しやすい形でドキュメント化されていると、開発チームに新しいメンバーを迎えたときの指導にかける時間を抑えられるでしょう。

トラブル時の対応方法を計画する

トラブル時の対応を計画するには、まずトラブルの種類を明確に定義・分類します。異常事態や障害が発生した場合、それがどのカテゴリに該当するかを把握することが重要です。

トラブルの重要度を評価し、影響度や緊急度に応じた優先度付けを行います。対応の優先順位を明確にし、最も重要な問題に最初に取り組むことが可能となるでしょう。

また、過去のトラブルの発生履歴や傾向を分析し、将来のトラブルの発生を予測することで、予防策や事前の対応を計画します。定期的な監視やアラート設定を通じて、早期にトラブルを検知できるようにも工夫します。

トラブルが複雑で解決が難しい場合に備えて、外部の専門家やベンダーサポートへのアクセスを計画することも重要です。具体的には、適切なサポート契約や連絡先の確保、緊急時の対応体制を整備しましょう。

バックアップや復旧に対する対策を設ける

システムで扱う重要なデータは、定期的にバックアップを取ることが重要です。データベース、ファイルシステム、構成ファイルなど、適切な頻度でバックアップを実施します。

ただパックアップを取るのではなく、取得したバックアップが正常に動作することを確認する検証プロセスを設けることも大切です。定期的にバックアップのリストアを試行し、問題がないかを確認しましょう。

定期的なフルバックアップに加え、差分バックアップやインクリメンタルバックアップを使用することで、データの増分だけをバックアップすることが可能となります。その結果、ストレージの効率向上にもつながります。

また、バックアップデータを複数の場所に保存し、災害発生時にも安全にアクセスできるようにします。クラウドストレージやオフサイトなど、物理的な場所の冗長性も考慮します。

データが損失された場合やシステムが障害に見舞われた場合を想定し、復旧計画も策定しておきましょう。例えば、具体的な手順や責任者、復旧までの目標時間を明確にします。

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運用設計の進め方5ステップと運用設計書に書く項目

運用設計とは、システムを「誰が・いつ・何を・どうやって」運用するかを稼働前に決めておく作業です。設計せずに運用を始めると、障害のたびに判断が場当たりになり、担当者が変わった瞬間に品質が落ちます。進め方は次の5ステップです。

  1. 運用要件を決める:稼働時間、許容停止時間、復旧目標(RTO/RPO)、対応時間帯を業務側と合意する
  2. 運用体制と役割を決める:一次受け・二次対応・承認者、夜間休日の連絡経路、エスカレーション基準
  3. 運用業務を洗い出す:定常作業(監視・バックアップ・棚卸し)と非定常作業(障害・変更)を分けて一覧化する
  4. 手順書とルールを作る:作業手順、判断基準、記録の残し方、変更の承認フローを文書にする
  5. 試験して改善する:障害訓練とリストア試験で手順を検証し、稼働後は定期的に見直す

この5ステップの成果物をまとめたものが運用設計書です。記載する項目に決まった様式はありませんが、少なくとも次の内容が揃っていれば、担当者が交代しても運用を引き継げます。

運用設計書に書く項目書くべき内容
運用方針・前提対象システムの範囲、稼働時間、サービスレベルの目標値
運用体制図役割分担、連絡先、エスカレーションの順序と判断基準
定常業務一覧作業内容、実施頻度、担当、所要時間、判定基準
監視設計監視項目、しきい値、通知先、アラート発生時の初動
バックアップ/復旧手順取得対象・世代・保管先、リストア手順と検証方法
障害対応フロー受付から復旧・報告までの流れ、記録フォーマット
変更管理ルール申請・承認・作業・確認の手順、緊急変更の扱い
報告・改善定例報告の内容と頻度、見直しのタイミング

とくに抜けやすいのが「リストア試験」と「変更管理ルール」です。バックアップは取得しているのに復旧できたことが一度もない、変更作業に承認プロセスが無く担当者判断で本番を触っている、というケースは珍しくありません。運用設計の段階でこの2点を明文化しておくと、実際の障害時に差が出ます。

IT運用体制のつくり方|内製・外注・ハイブリッドの判断

運用設計まで固まったら、次は「誰が運用するか」です。情シスの人数が限られる企業では、すべてを内製するとシステム担当者が定常業務に埋もれ、本来やるべき改善や新規システムの検討に時間を割けなくなります。選択肢は大きく3つです。

体制向いているケース注意点
内製対象システムが少なく、業務知識が社内に閉じている担当者への属人化、退職・異動時のリスク、夜間休日の対応負荷
外部委託(運用アウトソース)監視・一次対応など定型業務の負荷が大きい/24時間対応が必要委託範囲と判断権限の線引き、社内にノウハウが残りにくい
ハイブリッド多くの企業に現実的。監視・一次対応は外部、業務判断は社内エスカレーション基準を明文化しないと責任の空白が生まれる

外部委託を検討する際は、「作業を委託するのか、結果に責任を持ってもらうのか」を最初に決めてください。作業委託であれば手順書どおりの実施が範囲であり、稼働率の担保までは含まれません。サービスレベルを約束してもらう契約であれば、監視設計や改善提案まで含めて依頼できますが、その分費用は上がります。この線引きを曖昧にしたまま金額だけを比較すると、契約後に「そこまではやってもらえない」という認識違いが起きます。

費用感の考え方は保守と共通するため、システム保守の費用の相場もあわせて確認すると、見積もりの妥当性を判断しやすくなります。委託先に求める体制・資格については 保守管理業務とは? も参考になります。

→ IT運用体制の見直しを c3index に相談する

IT運用に関するよくある質問

Q. IT運用とシステム運用は違うものですか。
A. ほぼ同義です。IT運用は社内のIT環境全体(ネットワークやPC、クラウド基盤を含む)を指すことが多く、システム運用は特定の業務システムに絞って使われる傾向がありますが、業務内容は重なります。

Q. 運用と保守はどう分ければよいですか。
A. 「システムを止めずに動かす」のが運用、「システムに手を入れて直す・改善する」のが保守です。契約上は分かれていても実務では地続きになるため、障害の一次対応をどちらの範囲に含めるかを事前に決めておくと揉めません。

Q. 運用設計書は何ページくらい必要ですか。
A. 分量よりも項目の網羅が重要です。本記事の表にある8項目が埋まっていれば、小規模システムなら十数ページでも機能します。逆に手順が細かくても、体制図とエスカレーション基準が無い設計書は実運用で使えません。

Q. 運用を外部委託すると費用はどのくらいかかりますか。
A. 対象システムの規模、対応時間帯(平日日中か24時間365日か)、委託範囲(監視のみか一次対応まで含むか)で大きく変わります。金額だけで比較せず、同じ範囲・同じ対応時間帯の条件を揃えて複数社から見積もりを取ることをおすすめします。

まとめ

システム運用は、システムを安定かつ効果的に稼働させるプロセスで、システムの監視やセキュリティの監視、データのバックアップ、トラブル発生時の対策などが含まれます。

トラブル時に対応するシステム保守とは異なり、運用はシステムが実際に稼働する状態を維持する作業を指します。

具体的な業務内容は、システムの監視、セキュリティの監視、データのバックアップ、トラブル発生時の記録や対策、運用マニュアルの最適化などです。システム運用の業務はさまざまなので、各業務に担当者を配置すると良いでしょう。

また、運用手順の明確化、トラブル時の対応計画、バックアップや復旧対策などのポイントを踏まえて、運用設計を行ってみましょう。これらの要素を組み合わせることで、システムが安定し円滑な運用が実現できます。

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