システム保守の業務内容や運用との違いは?外部委託するメリットやデメリットを紹介
システムの保守業務は、システムを継続的に稼働していくための業務です。
システム保守を行う場合は、運用業務との違いを理解し、保守業務にどのようなスキルが必要であるかを確認しましょう。
本記事では、システムの保守業務と運用業務の違い、システム保守に求められるスキルや能力などをご紹介します。
そのほか、システムの保守業務を外部に委託するメリットやデメリットもお伝えするので、外部に委託しようか自社で行おうか迷っている場合ぜひ参考にしてください。
目次
システムの保守業務とは?
システムの保守業務とは、システムが安定して稼働し続けるために必要な作業や業務のことです。システムが持続的に安定して稼働するためには欠かせないものであり、組織の業務の継続性やデータの安全性を保つために重要な役割を果たします。
具体的には、システムやアプリに障害が発生した際の復旧作業や、システムの稼働状態やリソース使用状況などの監視を行います。データのロスを防ぐために、定期的なバックアップを取得することも含まれるでしょう。
システムの運用業務との違い
システムの保守業務と運営業務は、多くの点で関連していますが、その役割や焦点が異なります。
システムの保守業務の目的はシステムが正常に稼働し続けることですが、運用業務の目的はユーザーのニーズを満たすことを目指して運用を行うことです。
また保守業務は主に障害対応やバックアップ、監視などを行い、運用業務はユーザーサポートやヘルプデスク業務、ユーザーアカウントの管理などを行います。
システムの保守業務に必要なスキル
システム保守では、求められているスキルがいくつかあります。ここでは、システムの保守業務に必要なスキルを3つご紹介します。
開発チームとのコミュニケーション能力
システムに障害が発生した際、その原因を特定するためにはシステムの詳細な仕様や動作に関する知識が求められます。開発チームはシステムの設計・実装に関する深い知識を持っているため、効率的に原因を特定するには彼らとの連携が不可欠です。
システムの更新や変更が行われる際、その内容や影響を正確に保守業務の担当者に伝えるため、両者間のコミュニケーションが大切です。保守から得られた知見やフィードバックを開発チームに伝えることで、より質の高いシステム開発が期待できるでしょう。
システムの運用・保守に関するドキュメントの整備や更新の際には、開発チームの知識や協力が求められるケースがあります。
システム障害の対応スキル
システム障害が発生した際、ビジネスの継続性やユーザーサービスの品質を確保するためには、障害を迅速に特定し対応するスキルが必要です。発生した障害の原因を正確に特定するには、分析スキルや診断スキルも求められます。
障害の状況や原因に応じて、最も適切な復旧手段や回避策を選択する能力が必要です。重大な障害が発生した場合、限られた時間と情報の中で的確な判断を下すスキルが必要となります。
また障害の詳細や対応手順、原因、改善策などを文書化することで、将来的な障害対応や再発防止のための知見を蓄積できるでしょう。
PDCAサイクルへの理解
システムの保守業務においてPDCAサイクルへの理解が必要な理由は、システムの持続的な改善と質の向上を実現するためです。
PDCAの「P」はPlan(計画)であり、保守業務の目標や期待される成果を明確に設定する工程を指します。具体的には、障害の予防、システムの最適化、アップデートの計画など、取り組むべきタスクやプロジェクトの優先順位を策定します。
PDCAの「D」はDo(実行)であり、計画に基づいて保守業務を実施する工程です。具体的には、実施した業務の内容、変更点、新たに導入したツールや手法などを文書化します。
PDCAの「C」はCheck(検証)であり、保守業務の成果や効果を評価し、目標とのギャップを確認する工程です。具体的には、障害の発生原因や対応の適切性、再発防止策の有効性を評価します。
PDCAの「A」はAct(改善)であり、Checkの工程で得られた知見や反省点をフィードバックする工程です。具体的には、保守業務の手順や方法を見直し、効率化や質の向上を図ります。
システムの保守業務は自社で行うべき?委託すべき?
ここでは、システムの保守業務を自社で行うケースと、外部に委託するケースをご紹介します。
自社で行うケース
システムの保守業務を外部に委託しても、社内業務に戻す可能性がある場合は、自社で保守業務を行うことをおすすめします。
保守業務を外部に委託すると、業務の遂行過程が共有されないケースがあるので、保守に関するノウハウや経験が培われません。社内業務に戻したとしても、今までのノウハウが得られないので、人材育成に時間がかかるデメリットもあります。
また最初から社内業務としてシステム保守を行っていれば、十分な経験やノウハウを蓄積できる可能性があります。結果的に、自社で行ったほうがコストを抑えられるケースもあるでしょう。
外部に委託するケース
システム保守を行う人的リソースが足りない場合は、保守業務を外部に委託することをおすすめします。それでも自社でシステム保守を行いたい場合は、人材を見つける必要があります。
外部にシステム保守を委託すると、人材を見つける際にかかる時間や手間を省け、保守業務に詳しいプロに任せることが可能です。最新技術の更新やアップデートも自動的に行われるので、システム保守に関する勉強や人材育成も必要ないでしょう。
システムの保守業務を委託するメリット
ここでは、システムの保守業務を委託するメリットを3つご紹介します。
メイン業務に人的リソースを当てられる
保守業務を外部に委託することで、メインとなる社内業務に人的リソースを当てられるようになります。メイン業務に必要なスキルや知識の蓄積にも、リソースを当てられるようになるでしょう。
定期的に発生する保守のタスクや突発的な障害対応など、自社で人員を持っておくと余剰リソースが生じると考えられます。外部に委託することで、実際の作業量に応じたコストでサービスを受けることができ、効率的な運用が実現できます。
システムのアップデートや障害に対応できる
システムのアップデートや障害対応には、特定の技術やノウハウが求められます。外部の専門業者は、多数の顧客やプロジェクトを手掛けており、最新の技術トレンドや問題解決の経験を持っています。この専門的な知識を活用することで、迅速かつ適切にアップデートや障害対応を行えるでしょう。
多くの外部保守業者は、24時間365日の監視サービスやサポートを提供しています。このため、突発的な障害や緊急の問題が発生した場合でも、迅速に対応し、システムのダウンタイムを最小限に抑えられます。
またシステムのセキュリティや機能性の維持・向上のためには、定期的なアップデートが必要です。外部の専門業者は、これらのアップデートを計画的に行い、システムを最新の状態に保つサービスを提供します。
人材育成や採用にかける時間を省ける
人材を内部で採用する際には、求人の作成、面接、選考といった手続きが必要です。これには多大な時間と労力がかかりますが、外部の専門業者に業務を委託することで、これらの手間やコストを大幅に削減できます。
特定の技術やノウハウを要する場合が多いシステム保守は、外部の専門業者を利用することで、即座に経験豊富なエキスパートの活用が可能です。新人や未経験者の育成にかける時間を省けるだけではなく、スムーズに優秀な人材が見つかるメリットもあります。
また技術の進化や変化に対応するため、スタッフに定期的なトレーニングや教育を提供することが必要です。これにかかるコストや時間も節約できるでしょう。
システムの保守業務を委託する際の注意点
ここでは、システムの保守業務を委託する際の注意点を2つご紹介します。
ノウハウや技術が社内に残らない
システムの保守や運用に関するノウハウや経験が社内に蓄積されないことで、外部のベンダーやサービスプロバイダに強く依存することになります。これは、将来的にベンダーを変更する際や、独自の修正や拡張を行いたい場合に大きな障壁となるでしょう。
社内に技術的なノウハウが不足している場合、突発的な問題や緊急の変更要求に対して迅速に対応することが難しいです。外部の業者に依存していると、対応速度や手順をコントロールしづらくなってしまうでしょう。
保守業務の体制がブラックボックスになる可能性がある
外部の業者がどのような作業を行っているのか、その内容や進捗、品質などが明確に把握できない場合、問題が発生した際の原因追求や改善が難しくなる可能性があります。
ブラックボックス化すると、業者とのコミュニケーションが難しくなることがあります。具体的に何が問題なのか、どのような対応が必要なのかが明確にならないと、双方の間で認識のずれや誤解が生じるリスクが高まるでしょう。
まとめ
システムの保守業務は安定した稼働を継続するための業務で、運用業務はユーザーのニーズを満たすことを目的に行う業務です。システム保守を行う際には、運用業務との違いを理解したうえで取り掛かりましょう。
システム保守では、開発チームとのコミュニケーション能力、システム障害の対応スキル
、PDCAサイクルを理解する能力などが求められます。特に自社で保守業務を行うなら、求められているスキルを身につけるために、人材育成や採用を行う必要があるでしょう。
またシステム保守に当てられる人的リソースがない場合、外部への委託がおすすめです。人材育成や採用にかける時間や労力を省けるメリットがあるので、これからシステム開発を検討している方は保守業務を外部に委託することを考えてみてはいかがでしょうか。