アプリ開発ができるAWS Amplifyはどんなサービス?初心者にわかりやすく解説
AWS(Amazon Web Services)は、サーバーレスでシステムを構築できるクラウドサービスです。
アプリ開発も行えるAWSですが、アプリ開発に使えるAWSサービスがそれかわからない、AWSでアプリ開発を行うことで得られることを知りたいという方がいるでしょう。
そこで本記事では、AWSでアプリ開発を行うときに役立つサービスや、AWSでアプリ開発を行うメリットをご紹介します。
そのほか、アプリ開発で欠かせないAWS Amplifyの構成要素もお伝えするので、これからAWSでのアプリ開発を検討している方は参考にしてください。
目次
AWSでアプリ開発はできる?
AWS(Amazon Web Services)は、さまざまなツールやサービスを提供しており、アプリケーションの開発、デプロイメント、スケーリングなどをサポートします。
AWSでアプリ開発を行ったあとは、運用・監視まで行えます。自社サーバーを用意する必要がないので、特にアプリ開発を急いでいる場合におすすめです。
Webアプリとモバイルアプリの違いとは?
AWSでアプリ開発を進める前に、自社が開発したいアプリがどちらに該当するのかを知るために、Webアプリとモバイルアプリの違いを把握しておきましょう。ここでは、Webアプリとモバイルアプリの違いをご紹介します。
Webアプリ
Webアプリは、インターネットブラウザを通して利用されるアプリです。PC、スマホ、タブレットなど、ブラウザがインストールされていればどのデバイスからでもアクセス可能です。
サーバーサイドでの更新が即時に反映されるため、ユーザーがアプリを更新する手間は不要です。多くのデバイスやブラウザに対応するためのテストが必要ですが、ひとつのコードベースで複数のデバイスに対応可能です。
ただし、ブラウザの制約の中で動作するため、カメラ、GPSなどのネイティブ機能を制限された形でしか利用できない場合が多いでしょう。インターネット接続やサーバーの応答速度に依存するため、一般的にモバイルアプリよりも遅く感じることがあります。
モバイルアプリ
モバイルアプリとは、スマホやタブレットなどのモバイルデバイス専用に開発されたアプリです。iOSやAndroidなどの、特定のモバイルOS向けに設計されます。
モバイルデバイス上で直接動作するので、高速なパフォーマンスを実現できることが多いです。またカメラ、GPSなどのネイティブ機能をフルに活用できる点がメリットです。
ただし、モバイルアプリを利用するには、Apple App Store、Google Play Storeなどのアプリストアからダウンロードして、インストールする必要があります。新しいバージョンがリリースされると、アプリストアからアップデートしなければいけません。
アプリ開発に役立つAWSサービス
AWSでアプリ開発を行う前に、数あるサービスの中からどのサービスを選ぶべきか知っておきましょう。
ここでは、アプリ開発に役立つAWSサービスを5つご紹介します。
1. AWS Amplify
AWS Amplifyは、モバイルアプリやWebアプリの開発を迅速化するためのフルスタックの開発フレームワークです。バックエンドのリソースの構築、認証、データベース、ストレージ、APIなどの設定を簡素化し、開発者がアプリケーションの機能に集中できるようにサポートします。
Amplifyは、CLI(Command Line Interface)やコンソールから設定が可能です。必要なバックエンドのリソースや機能を選択し、Amplifyが自動的に設定やデプロイを行います。
またReact、Angular、Vueなどのフロントエンドのフレームワークや、モバイル開発フレームワークとシームレスに統合します。バックエンドとの通信やデータの管理が可能です。
2. Amazon Cognito
Amazon Cognitoは、ユーザーのログインやアクセス制御を管理するためのAWSのサービスです。アプリケーションのユーザー管理を簡素化し、セキュリティとスケーラビリティを提供します。
ユーザーがアプリケーションにログインするための機能を追加でき、ユーザー名やパスワード、ソーシャルログイン、企業の認証システムなど、さまざまな認証方法の導入が可能です。
またユーザーグループやロールを使用して、アプリケーションの特定の機能やリソースへのアクセスを管理できます。ユーザーに対して適切な権限を与えられるので、セキュリティ対策にもつながります。
3. AWS Lambda
AWS Lambdaは、サーバーレスコンピューティングサービスであり、コードの実行環境を提供します。従来のサーバーベースのアプローチとは異なり、サーバーのプロビジョニングや管理をする必要がなく、必要に応じてコードが実行されます。
リクエストの数や処理の負荷に応じて、必要な数のLambda関数を自動的に作成し実行します。そのため、トラフィックの変動に柔軟に対応でき、リソースの効率的な利用が可能です。
また他のAWSサービスとのシームレスな統合を提供します。S3、DynamoDB、API Gateway、SNS、SQSなど、さまざまなサービスと連携して、データの処理やビジネスロジックの実行が可能です。
4. Amazon API Gateway
Amazon API Gatewayは、開発者がAPI(Application Programming Interface)を作成、公開、管理するためのツールです。Amazon API Gatewayを使用すると、モバイルアプリ、ウェブアプリ、その他のサービスとバックエンドの間で通信を効率的に管理できます。
開発者は、直感的なインターフェースを通じてAPIを作成・設定が可能です。APIのエンドポイント、リクエストとレスポンスの構造、認証とアクセス制御のルールなどを定義できます。
またAPI Gatewayは、リクエストのトレースやモニタリング、エラーログの収集など、APIの実行状態を監視するための機能を提供します。これにより。APIのパフォーマンスやエラーのトラブルシューティングを容易に行えます。
5. Amazon DynamoDB
Amazon DynamoDBは、フルマネージド型のNoSQLデータベースサービスであり、高いスケーラビリティとパフォーマンスを提供します。データの保存と取得を行うだけでなく、自動的なスケーリング、データの冗長性、および高い可用性を備えています。
ワークロードの変動に柔軟に対応するために設計されており、データの容量やスループット要件を自動的に調整・拡張が可能です。急なトラフィックの増加や大量のデータの処理に対しても、高いパフォーマンスを維持できます。
またAmazon DynamoDBは、データの読み書き操作のレイテンシが非常に低い特徴を持っています。データが高速にアクセスできるため、リアルタイムなアプリケーションや要求に即座に応答が可能です。
AWS Amplifyの構成要素4つ
ここでは、AWSでのアプリ開発に利用するAWS Amplifyについて、構成要素を4つご紹介します。
引用:アプリを爆速で開発 ! AWS Amplify Studio で出来ること。
1. Amplify Libraries
Amplify Librariesは、ウェブおよびモバイル開発をサポートするためのものです。
さまざまなプラットフォームやフレームワークで使用でき、開発者はそれぞれの環境に応じたコードを書くことなく、AWSのバックエンドサービスとの連携や機能の統合が可能です。
またAmazon API Gatewayとの連携を通じて、APIの作成や管理を行えます。RESTful APIやGraphQL APIの作成、APIの認証や認可の設定、APIの呼び出しなどが可能です。
2. Amplify CLI
Amplify CLI(Command Line Interface)は、AWS Amplifyのコマンドラインツールです。使用すると、コマンドラインからAWS Amplifyのプロジェクトの設定・管理ができます。
新しいAmplifyプロジェクトを、素早くセットアップすることが可能です。コマンドラインからは、プロジェクトの初期化や必要なリソースの設定が行えます。
またAWS S3やAmazon DynamoDBなどのストレージリソースの設定・管理をサポートしています。ファイルのアップロードやダウンロード、データの保存・取得などをコマンドラインから容易に実行が可能です。
3. Amplify Hosting
Amplify Hostingは、AWS Amplifyの機能の一部であり、ウェブアプリケーションや静的なコンテンツのホスティングを簡単に実現するためのサービスです。
Amplify Hostingは、HTML、CSS、JavaScriptなどの静的なコンテンツを手軽にホストする方法を提供しており、React、Angular、Vueなどのフレームワークで作成されたシングルページアプリケーションや静的なWebサイトをホストするのに適しています。
従来の静的なWebサイトのホスティングを、Amplify Hostingに置き換えることができます。
またAWSのグローバルなネットワークを活用し、高速かつスケーラブルなコンテンツ配信が可能です。ユーザーに近い場所からコンテンツを提供するため、ロード時間の短縮やパフォーマンスの向上が期待できるでしょう。
4. Amplify Studio
Amplify Studioは、アプリケーション構築に必要なUIの構築と、バックエンドを構築・管理する環境を一括して提供するサービスです。
ドラッグアンドドロップのUIビルダーやビジュアルなデータモデルエディタを使用して、アプリケーションのフロントエンド・バックエンドを構築できます。たとえば、APIの作成やデータベースの設定、ユーザー認証の設定などが可能です。
また低コード・ノーコードのアプリ開発を促進し、効率的にアプリを構築できるでしょう。Amplify Studioで構築したアプリは、ほかのサービスと連携して利用することもできます。
AWS Amplifyを無理に使わなくても良いケース
ここでは、AWS Amplifyを無理に使わなくても良いケースを2つご紹介します。
1. AWS以外の外部サービスと連携する場合
AWS以外のサービスとの統合が必要な場合、Amplifyで提供される統合機能だけでは不十分なケースがあります。外部APIへの接続や、外部サービス特有の認証フローの実装など、追加の開発作業が必要になる場合があるでしょう。
Amplifyが提供する機能は、AWSのサービスに特化しています。そのため、外部サービスが提供するユニークな機能や、特定のニーズに合わせたカスタマイズを活用したい場合、Amplifyを使用すると柔軟性が制限されるケースがあります。
また、プロジェクトが主にAWS以外のクラウドサービスや技術スタックに依存している場合、Amplifyを採用すると技術スタックが複雑になり、開発や運用の効率が低下する可能性があるでしょう。
2. 細かい設定を行いたい場合
プロジェクトが高度なAWSサービスの設定や特殊な技術スタックの統合を必要とする場合、Amplifyだけではその要求を満たせないケースがあります。たとえば、複雑なネットワーキングの設定や、特定のAWSサービスに対する細かなアクセス制御を行いたい場合などが挙げられます。
アプリケーションのパフォーマンスを最適化するために、リソースの使用量を細かく調整したい場合、Amplifyが提供するデフォルトの設定では不十分な場合があります。リソース使用量の最適化、レイテンシの低減、コスト管理など、特定の目的に合わせて細かい設定を行う必要がある場合には、直接AWSサービスを操作するほうが適している可能性があるでしょう。
AWS Amplifyでアプリ開発をする流れ
ここでは、AWS Amplifyでスマホ上で画面操作するアプリケーションを開発する流れを5ステップに分けてご紹介します。
1. Amplify CLIをインストールする
AmplifyCLIは、AWS Amplifyを使用してアプリケーションのバックエンドを設定し、管理するためのコマンドラインツールです。開発者はAmplify CLIを通じて、認証、API、ストレージ、インタラクション、分析など、さまざまなAWSサービスをアプリに統合できます。
Amplify CLIがインストールされたら、アプリケーションの開発を開始する準備が整います。開発者は、CLIを使用して新しいAmplifyプロジェクトを初期化し、必要なAWSサービスをプロジェクトに追加すると、アプリケーションのバックエンドリソースを構成できます。
2. Figmaのデザインをインポートする
このステップは、Figmaで作成したアプリのデザインを、開発プロセスに取り込みます。
ただし、AWS AmplifyとFigma間で直接的なインポート機能が存在するわけではありません。このプロセスを実現するためには、デザインと開発の間にあるギャップを効率的に橋渡しする方法を採用する必要があります。
アプリのUI/UXデザインをFigmaで完成させる際、画面のレイアウト、コンポーネントのデザイン、色やフォントなどを指定します。
3. コンポーネントとデータモデルを紐付ける
このステップは、フロントエンドのUIコンポーネントとバックエンドのデータストレージを結びつけ、アプリケーションがデータを効率的に処理できるようにするプロセスを指します。アプリケーションの機能性とユーザーエクスペリエンスに直接影響を与える重要な部分です。
アプリケーションのデータモデルを設計することから始めます。これには、アプリケーションが扱うデータの種類、それらのデータ間の関連性、そしてデータがどのように操作されるかを定義する作業が含まれます。
AWS Amplifyでは、GraphQLを使用したAmplify APIや、Amplify DataStoreを利用して、このデータモデルを構築できます。
AWS Amplify UIコンポーネントライブラリを使用すると、プリセットされたUIコンポーネントを簡単にアプリケーションに組み込むことができます。コンポーネントとデータモデルを紐付けることで、UIコンポーネントがバックエンドのデータモデルと通信し、データの読み込み、作成、更新、削除を行えるようになります。
4. ローカル環境に取り込む
このステップでは、Amplify CLIを使用して、AWS上に構築したバックエンドリソースをローカル開発環境に取り込んで開発作業を行います。
このプロセスを通じて、開発者はアプリケーションのフロントエンドとバックエンドの双方を、効率的に開発、テスト、デバッグすることが可能です。
ローカルマシン上に新しいプロジェクトディレクトリを作成し、そのディレクトリ内で作業を進めます。必要な認証、API、データベースなどを選択し、Amplify CLIを通じて構成していきます。
5. テストを実施する
このステップでは、アプリケーションが正しく機能することを確認し、ユーザーにとって価値のある安定した製品を提供するために、さまざまな種類のテストを実施します。
ユニットテストでは、コードの最小単位が期待通りに動作することを確認します。各関数やコンポーネントに対して、入力と期待される出力を定義し、テストを自動実行しましょう。
統合テストでは、複数のコンポーネントやシステムが統合された状態で、期待通りに機能することを確認します。ユーザーの操作を模倣するテストスクリプトを作成し、UIを通じてデータの流れやイベントの処理が正しく行われることをチェックしましょう。
エンドツーエンドテストは、アプリケーション全体がエンドユーザーの視点で正しく機能するか確認するテストです。実際のブラウザ環境でアプリケーションを実行し、ユーザーストーリーやユースケースに沿った操作を自動で実行してテストします。
パフォーマンステストは、アプリケーションが高負荷や大量のデータ処理でも適切に機能し、ユーザーに快適な体験を提供できることを確認するテストです。仮想ユーザーを大量に生成し、アプリケーションに同時アクセスさせることで、レスポンスタイムやシステムの限界を測定します。
セキュリティテストは、アプリケーションがセキュリティ脅威に対して脆弱ではないことを確認するテストです。脆弱性スキャン、侵入テストなどを行い、セキュリティリスクを特定して修正します。
AWSでアプリ開発を行うメリット4つ
AWSでアプリ開発しようか迷っている場合は、まずAWSを利用するメリットを確認しましょう。
ここでは、AWSでアプリ開発を行うメリットを4つご紹介します。
1. コストを削減できる
AWSは従量課金制を採用しており、実際に使用したリソースにのみ料金が発生します。そのため、無駄なコストを削減できる可能性があります。
AWSの未使用のコンピューティング容量を利用するスポットインスタンスは、割引価格で利用が可能です。
またAWSは、コスト管理ツールを提供しています。実際の利用状況や予算をモニタリングし、コストの把握ができます。コスト予測やアラート機能も備えているので、予算をオーバーする前に警告を受けられます。
2. アプリ開発をすぐにはじめられる
AWSの利用をはじめる前には、AWSアカウントを作成する必要があります。アカウントの作成自体は無料で、すぐにアプリ開発をはじめられます。
またサーバーレスでアプリ開発を行えるので、自社でサーバーやソフトウェアを用意する必要がありません。開発にかかる期間を抑えられれば、リリースできる時期も早められるでしょう。
3. 運用や管理の負担を軽減できる
AWSの多くのサービスは、自動的にスケーリングする機能を備えています。需要が増加した場合には、リソースを自動的に拡張して対応し、需要が低い場合にはリソースの縮小が可能です。柔軟かつ容易にカスタマイズできるので、運用・管理の負担の軽減につながるでしょう。
またAWSは、リソースのモニタリングとアラート機能も提供しています。AWS CloudWatchを使用すると、リソースのパフォーマンスやアプリケーションの状態を監視し、異常が検出された場合にはアラートを受け取れます。問題を早期に検知し、迅速な対応が可能です。
4. セキュリティやサポート体制が充実している
AWSのデータセンターやインフラストラクチャは、厳格なセキュリティ対策が施されています。厳重なアクセス制御や監視、防火壁などのセキュリティ設備により、物理的なセキュリティを確保しています。
AWSでは、データの暗号化やデータベースのアクセス制御、ストレージデバイスの暗号化など、データセキュリティに関する機能の利用が可能です。AWS Key Management Serviceを使用すると、データの暗号化キーの管理を行えます。
またプランによっては、24時間365日の技術サポート、サービスのトラブルシューティング、アーキテクチャのアドバイスなどのサポートを受けられます。
AWSでアプリ開発する際の注意点
AWSでアプリを開発する際、メリットだけではなく注意点も把握しておきましょう。ここでは、AWSでアプリ開発を行うときの注意点を2つご紹介します。
1. コストの管理が難しい
AWSのようなクラウドサービスを使用する際には、柔軟な料金体系と多様なサービスの利用が可能です。そのため、適切にコストを管理しないと想定以上の請求が発生する可能性があります。
検証や開発のために立ち上げたインスタンスやその他のリソースを停止・削除せずに放置すると、不要なコストが発生します。またAWS内やAWS間でのデータ移動、特にインターネット経由でのデータ転送はコストがかかる場合が多いです。
またDynamoDB AcceleratorやRedshiftなどの高性能なサービスは、ほかのサービスと比べると高いです。必要ない場合やその機能を十分に活用していない場合、コストが非効率的になるでしょう。
2. 責任共有モデルを理解する必要がある
AWSの責任共有モデルとは、クラウドセキュリティの責任がAWSとユーザーの間でどのように分割されているかを示すものです。具体的には、AWSがクラウドインフラストラクチャのセキュリティを担当し、一方でユーザーがクラウド上で動作するアプリやデータのセキュリティを担当するという分割です。
責任共有モデルを理解することは、AWS上でのアプリ開発と運用におけるセキュリティ管理の観点から、自社側ですべきセキュリティ対策を明確化する際に重要です。
AWSでは物理的なデータセンター、ネットワーク、ハードウェア、およびソフトウェアのセキュリティを管理します。災害対策、冗長性、ネットワークのファイアウォールや、DDoS対策などのセキュリティ面での取り組みが含まれます。
一方でユーザーの責任範囲は、AWS上で動作するアプリやデータ、OS、ネットワーク設定などのセキュリティの管理です。アプリの脆弱性対策、データの暗号化、ネットワークのセキュリティグループの設定、IAMユーザー・ロールの権限管理などが含まれます。
AWSのアプリ開発の費用|ケース別に紹介
AWSのアプリ開発にかかる費用を、6つのケースに分けてご紹介します。
1. WindowsアプリをAWSに移行する
Windows アプリをクラウドへ移行して利用する場合、仮想専用ネットワーク(VPN)を使用してゲートウェイと接続する必要があります。
この構成には、Amazon Elastic Compute Cloud(Amazon EC2)、Amazon Elastic Block Store(Amazon EBS)、Amazon RDS for SQL Server、Elastic Load Balancing、AWS VPNのサービスを利用します。
これらのサービスを1か月間使った費用は、2,008.14ドルです。この月額費用は、2020年5月13日時点で試算したものです。
ここでは、Amazon Elastic Compute Cloud(Amazon EC2)とAmazon Elastic Block Store(Amazon EBS)は、汎用SSD(gp2)ボリュームを200GB、スナップショットを200GBを使っているとします。
またAmazon RDS for SQL Serverは、データベースストレージ、汎用(SSD)ストレージ、バックアップストレージを100GB使った場合の費用です。
2. Web会議などのビジネス用コミュニケーションアプリを開発する
AWSで開発するビジネス用のコミュニケーションアプリは、音声での会議参加なら最大 250人まで参加できます。ブラウザのみで会議に参加できるので、プラグインまたは拡張機能なしで開発が可能です。
この構成には、Amazon Chime、AWS Directory Service-AD Connector・AWS Managed Microsoft AD、Inter-Region VPC Peeringのサービスを利用します。
これらのサービスを1か月使った費用は、661.48ドルです。この月額費用は、2020年5月19日時点で試算したものです。
ここでは、Amazon ChimeでProユーザーが50ユーザー、Amazon Chime ダイヤルイン通話を10,000分間使っているとします。
3. レンタルサーバーをからWebアプリをAWSに移行する
レンタルサーバーでWebアプリを運営する場合、ユーザー数の増加に合わせてサーバーのスペックを上げる必要があります。Amazon Lightsailを利用することで、シンプルなWebアプリを運営するのに必要な機能の利用が可能です。
Amazon Lightsailを24時間使い続けた月額費用は、3.50ドルです。この費用は、 2020年5月23日時点に試算したものです。
Webページあたり7MBで、1日3,000ページビュー以内の場合、月の転送量が1TB以下になるのでデータ転送量が無料となります。
4. 画像格納とサムネイル作成処理を構築する
AWSのサーバーレスの機能を活用することで、サムネイル作成処理の自動化を実現できます。この構成では、AWS LambdaとAmazon S3のサービスを利用します。
これらのサービスを1か月使った費用は、18.13ドルです。この費用は、2020年5月23日時点で試算したものです。
AWS Lambdaは、リクエスト回数が76,250 回、実行時間が381,250秒使っているとします。リクエスト回数が100万件以内、実行時間が40万秒以内なら、無料枠が適用されます。
またAmazon S3は、ストレージ容量が686.25GB、PUTリクエスト・GETリクエストが76,250回の場合の費用です。
5. 動的なWebアプリを構築する
Auto Scaling Groupを用いた動的なWebアプリを構築する場合、Amazon CloudFront、AWS Certificate Manager(ACM)、Elastic Load Balancing、Amazon Elastic Compute Cloud(Amazon EC2)、Amazon Elastic Block Store(Amazon EBS)、Amazon Machine Image(AMI)、Amazon Simple Storage Service(Amazon S3)、Amazon Relational Database Service(Amazon RDS)、Amazon ElastiCache、NAT Gatewayのサービスを利用します。
これらのサービスを1か月使った費用は、1283.48ドルです。この費用は、2020年5月13日時点で試算したものです。
ここでは、各サービスのストレージ容量が100GB、データ転送アウトが1TB、HTTPSリクエストが10,000,000件と想定しています。
6. 会員制Webアプリを構築する
Webアプリをサーバーレスアーキテクチャで構築する場合、AWS Amplify Console、Amazon API Gateway、AWS Lambda、Amazon DynamoDB、Amazon Cognitoのサービスを利用します。
これらのサービスを1か月使った費用は、178.67ドルです。この費用は、2020年6月8日時点で試算したものです。
ここでは、AWS Amplifyのストレージ容量が1か月0.19GB、Amazon API Gatewayのリクエスト回数とAmazon DynamoDBの読み出し要求・書き込み要求が3,050,000回などの場合を想定しています。
AWSでのアプリ開発は外部委託がおすすめ!委託するメリット
AWSでのアプリ開発を検討している場合、外部委託を考えてみてはいかがでしょうか。外部委託するメリットを4つご紹介します。
1. 知識を蓄積したプロに一任できる
外部の専門家や専門チームは、AWSを使用した多岐にわたるプロジェクトの経験がある場合が多いです。さまざまな経験から得られた知識やスキルを活用して、効率的かつ効果的な開発を進められます。
AWSのサービスや機能は日々進化しており、外部の専門家はその変化に対応するための継続的な学習やトレーニングを受けています。これにより、最新のベストプラクティスや技術的な進歩を活用した開発が実現できるでしょう。
またAWSのコスト管理やリソースの最適化に関する知識を持つ専門家は、システムのコスト効率を向上させる提案や実装を行うケースが多いです。
2. 人的リソースをメイン業務に当てられる
AWSやアプリ開発に関する専門的な知識やスキルを持つ外部のプロフェッショナルに開発を委託すると、自社の核となる業務や専門分野に社内の人的リソースを当てられるようになります。その結果、自社のメイン業務の質や効率の向上につながるでしょう。
アプリ開発は専門的な知識や経験を要するため、未経験のスタッフを新規に育成するのには時間とコストがかかります。外部委託により、育成の必要がなくなり、既存のスタッフをより生産的な業務にアサインすることが可能です。
また一時的なプロジェクトやスパイクが発生した場合、外部のパートナーとの契約を調整してリソースの追加ができます。これにより、自社の定常的な業務に影響を与えることなく、プロジェクトを迅速に進行できるでしょう。
3. スムーズに開発を進められる
開発業者が持っている経験と知識を活用することで、技術的な障壁を迅速に乗り越え、開発プロセスをスムーズに進められます。複数のクライアントやプロジェクトを同時に管理していることが多いため、リソースの割り当てやスケジューリングに関するベストプラクティスを持っています。
開発業者は、最新の技術やツールを取り入れることが容易です。最新のテクノロジートレンドやベストプラクティスを活用して、開発をスムーズに進められるでしょう。
4. 運営や保守業務まで任せられる
開発業者のほとんどが、アプリ開発だけではなく、運営や保守業務まで任せられます。24時間体制での監視サービスやサポート提供により、障害や不具合が発生した際にも迅速な対応が可能となります。
ソフトウェアのアップデートやセキュリティパッチの適用は、システムの安定性やセキュリティを維持する上で極めて重要です。これらのタスクを定期的に実施し、システムを最新の状態に保つ役割を果たします。
まとめ
AWSは、アプリ開発において優れた環境とツールを提供し、コスト削減、迅速な開発スタート、運用・管理の負担軽減、サービスの拡張、充実したセキュリティとサポート体制を実現します。
開発者はAWSの利点を活かし、効率的で安全なアプリケーションの開発に取り組むことができます。
これからAWSでのアプリ開発を検討している方は、アプリ開発に役立つAWSサービスについて理解を深めてから開発を進めると良いでしょう。