AWSの保守は必要?サポートの種類や保守費用の相場を紹介
ただAWSを導入するだけではなく、導入後の保守が重要です。
AWSの保守に力を入れることで、セキュリティの強化やシステムの正常化などのメリットにつながります。
しかし、AWSを導入したばかりの方や導入を検討中の方の中には、「どの保守にサポートを利用すべきかわからない」「AWSの保守に必要な費用の相場を知りたい」という方もいるでしょう。
本記事では、AWSにおける保守について、サポートの種類や利用するときのポイント、保守費用の相場を紹介します。
目次
AWSの保守の必要性
AWS(Amazon Web Services)は、物理的なサーバーを提供しているのではなく、仮想サーバーというインターネット上で利用できるサーバーを提供しています。物理的な保守は必要ありませんが、仮想サーバーの保守はとても重要です。
AWSの保守を行わなければ、AWS上に構築したシステムが正常に作動しない問題が発生してしまう恐れがあります。
またAWSの保守では、具体的にシステムの監視や障害の対処などを行います。システムエラーなどのトラブルに限らず、パフォーマンス向上のための技術的なサポートも行うと良いでしょう。
保守に力を入れることで、万が一問題が起こってもすぐに対応できます。顧客向けのサービスをAWS上で構築している場合は、すぐ問題を解決することで顧客満足度の向上にもつながるでしょう。
このようにAWSの保守はシステムを守るだけではなく、顧客満足度の向上などさまざまなメリットが得られる可能性があります。
AWSの保守サポート期限が延長されたって本当?
Amazonの保守サービスには、主にAmazon Linux AMIとAmazon Linux 2があります。
Amazon Linux AMIは、2020年12月31日までを期限にサポートを行っていましたが、2023年12月31日までに延期しました。しかし、新しいシステム開発は、Amazon Linux 2の利用を推奨しています。
Amazon Linux 2は、2023年6月30日までが提供予定でしたが、2025年6月30日までと2年も期限が延期されました。
またこのような期限が延期されたなどの情報は、AWSの「English」ページのほうが早く更新されます。いち早く情報を手に入れたい方は、「English」ページの確認がおすすめです。
AWSの保守サポートの種類
AWSの保守サポートのプランには、いくつか種類があります。保守に力を入れる前に、どのプランを利用するのか決めることが大切です。
ここでは、AWSの保守サポートを4種類紹介します。
ベーシックプラン
ベーシックプランは、AWSのアカウントを取得した時点で利用できるプランです。自動的に加入されるので、自身で加入手続きを行う必要はありません。
ベーシックプランで利用できるサポートや機能は、主に以下の通りです。
- リソースセンター
- サービス状態ダッシュボード
- 製品FAQ
- フォーラムおよび健全性チェックのサポート
これらの機能は、すべて無料で利用できます。そのため、コストを抑えながら保守サポートを受けたい方におすすめです。
開発者サポートプラン
開発者サポートプランは、個人や学習向けのプランです。AWSのさまざまなサービスを試したい方におすすめで、本番システムを構築する前に準備をしっかり整えておきたい方に適しています。
開発者サポートプランで利用できるサービスや機能は、主に以下の通りです。
- 日本語でのサポート
- Webブラウザから「Webサポート」の利用が可能
- 問い合わせから24時間以内に対応
日本語でのサポートは、平日の日本時間8時〜18時です。一般的な企業の業務時間と同じなので、業務中に発生したトラブルでもすぐに相談できます。
また問い合わせてからは、24時間以内に返答や対応をしてもらえます。少なくとも翌日や翌々日には返答が来るので、連絡が来ないことはないでしょう。
ビジネスサポートプラン
ビジネスサポートプランは、AWSで構築したシステムやサービスをビジネス目的で発信する方におすすめのプランです。
ビジネスサポートプランで利用できるサポートや機能は、主に以下の通りです。
- 日本語でのサポート24時間365日可能
- 問い合わせ対応最短1時間以内
- 電話・メール・チャットでの問い合わせが可能
24時間365日年中無休で問い合わせ対応を行っているので、いつシステムに不具合が起こってもその都度対応してもらえます。
ただし、公開前のシステムのトラブルは、公開後のものよりも対応が遅れる傾向にあります。とはいえ、24時間以内には対応してもらえるので、数日も放ったらかしということはないでしょう。
エンタープライズサポートプラン
エンタープライズサポートプランは、法人向けのプランです。
エンタープライズサポートプランで利用できるサポートや機能は、主に以下の通りです。
- 日本語でのサポート24時間365日可能
- メール・電話・チャットでの相談
- システムの最適化を支援
- ビジネスへの影響が致命的なトラブルへの対応は15分以内
- テクニカルアカウントマネージャが専任され、AWS環境最適化の支援を受けられる
緊急レベルによって、対応してくれるスピードが異なります。
問い合わせてからの対応に取り掛かるまでの時間は、公開する前のシステム障害が12時間以内、公開後のシステム障害が4時間以内、公開後のシステムダウンが1時間以内、ビジネスクリティカルなシステムのダウンが15分以内です。
AWSの保守サービスを利用する時のポイント6つ
AWSの保守サービスを利用する際、自分に合ったものを選ぶためにも、事前にポイントを押さえておくことが大切です。
ここでは、AWSの保守サービスを利用するときのポイントを6つ紹介します。
保守範囲が適切か
まずは、希望する範囲の保守が可能なのか確認しましょう。
サービスによって、保守範囲が異なるケースがあります。保守範囲が適切か確認する際には、以下のポイントに着目しましょう。
- 有人体制が充実しているか
- 障害を検知してからすぐに対応してくれるか
- 一次障害に続き二次障害にも対応してもらえるか
- 障害対応手順書を作成してくれるか?
- どのレベルまで対応が可能か
システムダウンなどの大規模障害は、顧客満足度低下にもつながる恐れがあります。このようなリスクを避けるためにも、保守範囲が充実しているか確認しておきましょう。
実績があるか
AWSの保守サービスを提供している会社に依頼する場合、AWSの保守に関する実績があるか確認してください。
AWSの知識が豊富でも、実績がなければ安心して任せられないという方も多いでしょう。依頼を検討している会社がある場合は、どのような実績があるのか問い合わせてみることもおすすめです。
また実績の多い会社なら、AWSを保守していく上でどのような障害が起こるのか、どのような対処を行うべきなのか十分に把握しているでしょう。
スキルの高い人材がいるか
AWSの保守を代行してもらう際、スキルの高い人材が在籍しているのか確認してください。
システム障害を探知するスピードが早くても、問題解消までの時間を短縮できなければ、多大な損害が生じてしまう恐れがあります。
AWSの保守経験のあるスキルが高い人材であれば、問題の探知から解決までスピーディに対応できるでしょう。
またAWSのスキルが高い人材がいるのか確認する際、AWS認定資格を持っているかがポイントの一つです。
プラン内容を柔軟に変更できるか
AWSの保守サービスを提供している会社によって、サポート内容をパッケージ提供していたり、自由自在にサポート内容をカスタマイズできたりと、契約内容が異なります。
AWSを導入したばかりの方や導入する予定の方の中には、どの範囲を保守すべきか明確になっていない方がいるでしょう。そのような方は、プラン内容を柔軟に変更できるところがおすすめです。
またプランを自由に変更できる会社を利用する際には、どのタイミングで変更できるか、料金が変動するタイミングがいつか、などのポイントを確認しておきましょう。
サポート体制が整っているか
AWSの保守を行う上で、さまざまな問題が起こっても対応してもらえるよう、サポート体制が整っているか確認してください。
たとえば、24時間365日対応が可能か、日本語での対応をしているか、などのポイントに着目しましょう。
ただし、運用や保守を一任すると、自社スタッフがAWSの保守に関する知識を培いづらいというデメリットが生じます。
すべてを保守代行会社に任せることもおすすめですが、障害が起こった際には対応内容を事例として残しておくと、これからの人材育成で活用できる可能性があります。
予算内におさまるか
AWSの保守サービスを利用する前に予算を決めておき、予算オーバーにならないか確認しましょう。
もちろん、コストだけではなくサービス内容の品質も重要です。
しかし予算内に収まらなければ、長期的なサービスの利用は現実的ではないといえるでしょう。
AWSの保守費用の相場
AWSの保守サービスを利用する場合、費用の相場は月額2万円程度〜です。
AWSの導入からサポートしてもらう場合は、初期費用として10万円程度〜が必要です。依頼する会社やプランによって料金が異なりますが、紹介した費用の相場は予算を決めるときの参考にしてください。
まとめ
AWSを導入したあとは、システムに適した保守サービスを選んでセキュリティやパフォーマンスの維持・向上を図りましょう。
AWSの保守を怠ると、不正アクセスやエラーなどさまざまなトラブルが起こり、セキュリティ目の低下につながる恐れがあります。
保守サービスを外部に依頼する場合は、保守範囲が希望を満たしているか、スキルが高い人材が在籍しているか、などのポイントに着目しましょう。
またAWS Systems ManagerやAWS LambdaなどのAWSサービスを活用することで、AWSの保守の自動化を図ることができます。
これからAWSの導入を検討している方は、保守サービスを利用するときのポイントを把握した上で、保守代行サービスの活用を検討してみることもおすすめです。