Webアプリケーションにおすすめの脆弱性診断サービス5選|サービスの種類や選ぶ時のポイントを解説
Webアプリケーションのセキュリティに対して不安に思っている場合は、脆弱性診断を受けてみてはいかがでしょうか。
本記事では、脆弱性診断の種類や脆弱性診断サービスを選ぶときのポイントをご紹介します。
そのほか、おすすめの脆弱性診断サービスもお伝えするので、サービスを探している方はぜひ参考にしてください。
目次
脆弱性診断とは?
脆弱性診断は、Webアプリケーションなどの情報システムにおけるセキュリティ上の脆弱性を特定し、脆弱性に対するリスクを評価するものです。
組織がセキュリティの脅威から保護されているかどうかを確認するために行われ、セキュリティ対策の一環として重要です。
ペネトレーションテストの違い
脆弱性診断とペネトレーションテストは、いずれも情報セキュリティの向上を目的としますが、アプローチや目的において異なります。
脆弱性診断の目的は、システムやネットワークに存在する潜在的な脆弱性を特定し、それに対するリスクを評価することです。一般的には、自動化ツールを使用して脆弱性を検出し、その後人間の専門家が詳細な分析を行います。
ペネトレーションテストの目的は、攻撃者の視点からシステムにアクセスし、悪用可能な脆弱性を発見することです。実際の攻撃と同様に、侵入者がどれだけの範囲でシステムに侵入できるかを確認します。
すなわち、脆弱性診断はシステム全体の脆弱性を識別し、リスクを評価する一般的なアプローチです。一方、ペネトレーションテストは、攻撃者の立場から具体的な攻撃を模倣し、システムの実際の侵害可能性を確認するために行われます。
脆弱性診断の種類
ここでは、脆弱性診断の種類を3つご紹介します。
自動診断ツール+手動
自動診断ツールと手動の要素を組み合わせることで、広範囲かつ迅速な脆弱性の検出が可能であり、同時に人間の専門家が深い分析やコンテキストを提供できます。
自動診断ツールとは、プログラムやスクリプトを使用して脆弱性を自動的に検出するためのツールです。広範囲で大量の脆弱性スキャンを迅速に行うことができ、一定の基準に基づいて検査を行うため一貫性があります。
手動診断は、セキュリティ専門家やエスカレーションチームによる複雑な脆弱性の分析や深堀りを含む人間の介入を指します。人間の判断と専門知識に基づいた深い分析ができ、偽陽性を減少させることが可能です。
クラウド型の自動診断ツール
クラウド型の自動診断ツールは、クラウド環境で提供される自動化された脆弱性診断ツールです。クラウドインフラストラクチャを利用して広範囲でスケーラブルな脆弱性スキャンを実行し、迅速かつ柔軟に組織のセキュリティステータスを確認します。
クラウド型のツールは、リアルタイムで診断結果を提供できます。組織は即座に脆弱性の状態を把握し、迅速に対策を講じることが可能です。
クラウド型のツールは通常、クラウドプラットフォーム上で提供されるため、インフラストラクチャやアップデートの管理について心配する必要がありません。ツールの更新やスケーリングがクラウドプロバイダによって自動的に処理されるため、運用が簡略化されます。
一部のクラウド型自動診断ツールは、他のセキュリティツールや統合ツールとの連携が可能です。これにより、脆弱性情報を他のセキュリティインフラストラクチャや監視ツールと統合し、総合的なセキュリティ戦略を構築できます。
ソフトウェア型の自動診断ツール
ソフトウェア型の自動診断ツールは、特定のプログラムやアプリケーションとして提供される脆弱性診断ツールです。特定のセキュリティテストや脆弱性スキャンを実行するために開発され、組織が自らのインフラストラクチャやアプリケーションを対象に利用できます。
ソフトウェア型のツールは、特定の対象に絞った脆弱性診断が可能です。例えば、Webアプリケーションやネットワーク機器、データベースなど、特定のセグメントに特化したツールが提供されています。
また、定期的なスケジュールで脆弱性スキャンを実施することもできます。そのため、組織は定期的にセキュリティステータスを把握し、新たな脆弱性に対応できるでしょう。
一部のツールは、ユーザーがテストのパラメータや設定をカスタマイズできるようになっています。これにより、特定の環境や要件に合わせて診断を調整することが可能です。
Webアプリケーションの脆弱性診断サービスを選ぶ際のポイント
ここでは、Webアプリケーションの脆弱性診断サービスを選ぶときのポイントを6つご紹介します。
どの範囲まで診断できるか
一部のサービスは、特定の種類のアプリケーションに特化しており、対象となるWebアプリケーションがサービスでサポートされているか確認が必要です。
また、サービスによっては、特定のエンドポイントや特定のディレクトリのみを対象にすることがあります。組織のアプリケーション全体を対象とするか、一部の部分だけを対象とするかを明確に理解することが重要です。
特に、複雑な脆弱性や高度な攻撃技術に対してどの程度の深堀りができるかがポイントとなります。例えば、SQLインジェクションやクロスサイトスクリプティングのような一般的な脆弱性だけでなく、高度な攻撃手法にも対応できるか確認してみましょう。
診断精度が高いか
良質な脆弱性診断サービスは、実際には脆弱性がないにもかかわらず検出される場合と、実際には脆弱性があるにもかかわらず検出されない場合を最小限に抑えるよう努めています。低い偽陽性率と偽陰性率は、診断の信頼性を高めます。
また、サービスが提供する報告書が正確かつ詳細であるかどうかも評価ポイントです。報告書には検出された脆弱性、その影響度、リスクの評価、修正のための提案などが含まれ、これにより組織が迅速かつ効果的に対策を講じることが可能です。
実績があるか
実績を確認する際、セキュリティ業界や関連するコミュニティでの評価や認知があるかどうかをチェックしましょう。業界の専門家や組織からの肯定的な評価は、サービス提供者の専門性を示唆するものです。
また、セキュリティ業界での認証や認定を受けているかを確認します。例えば、ISO 27001認証やOWASPの関連認証などが、サービス提供者の信頼性を裏付ける要因となります。
サービス提供者が技術的な進化に追随しており、最新のセキュリティ課題にも対応できるかも重要です。セキュリティ領域は急速に変化するため、提供者が常に最新のトレンドに対応していることを重視すると良いでしょう。
アフターフォローが充実しているか
サービス提供者が検出された脆弱性について詳細な説明や解説を提供し、対策方法や修正のアドバイスを適切に提供しているかが大切です。これにより、組織が報告された脆弱性に対して理解を深め、対策を行いやすくなるでしょう。
サービス提供者が検出した脆弱性に対して、優先順位や影響度を示す情報を提供しているかも確認しましょう。適切にアドバイスしてもらうことで、組織は緊急性の高い脆弱性に対処する際に効果的な対策を取れます。
また、サービス提供者が組織からの疑問や質問に対して迅速かつ適切に対応できるかチェックしてみましょう。適切なコミュニケーションが保たれることで、問題解決がスムーズに行えます。
適切な費用であるか
費用を重視する場合、サービス提供者が費用体系を透明に示し、サービスプランに含まれる内容やオプションについて理解しやすいところがおすすめです。柔軟性があり組織のニーズに合わせてカスタマイズできるかどうかも重要です。
サービス提供者が階層的なプランを提供しており、組織が必要に応じてスケーリングできるか確認しましょう。中小企業から大企業まで対応できる柔軟性がある場合、事業拡大にともなって柔軟に対応してもらえる可能性があります。
また、サービス提供者の費用に隠れたコストがないかも重要です。例えば、特定の機能やサポートに追加料金がかかる場合などがあるので注意しましょう。
サイバー保険が付帯されているか
サイバー保険が付帯されている場合、脆弱性診断によって見落とされた脆弱性が原因で発生したセキュリティインシデントに対して、保険が被害を補償してくれるケースがあります。組織がサイバー攻撃によって被害を受けた際に、損害を最小限に抑えるための保護となります。
サイバー保険には、一定の条件や除外事項が存在します。脆弱性診断サービスを受ける際には、サイバー保険が提供されている場合でも、条件や除外事項に留意することが重要です。特定のセキュリティプラクティスやポリシーに準拠していなければいけない場合があります。
また、サイバー保険のポリシーには通常、保険金の上限や限度額が設定されています。組織は、発生した被害が保険金の上限を超える可能性があるかを考慮する必要があるでしょう。
サイバー保険が提供されている場合、被害発生時に保険プロバイダとの連携が重要です。脆弱性診断サービスの提供者が、保険プロバイダとの連携や協力体制を整えているか確認してみましょう。
Webアプリケーションにおすすめの脆弱性診断サービス
ここでは、Webアプリケーションにおすすめの脆弱性診断サービスを5つご紹介します。
HCL AppScan
HCL AppScanは、Webアプリケーションの脆弱性診断やセキュリティテストを実施するためのサービスです。静的解析と動的解析の両方をサポートしており、Webアプリケーションのソースコード解析と実行中のアプリケーションのセキュリティテストを包括的に実施できます。
また、高度な脆弱性も検出できるような深堀り機能を提供しています。例えば、SQLインジェクション、クロスサイトスクリプティング、CSRFなどの一般的な脆弱性だけでなく、複雑な攻撃手法も検知可能です。
HCL AppScanは、さまざまな種類のWebアプリケーションや技術に対応しています。カスタムアプリケーションや主要なWebフレームワーク、モバイルアプリケーションなど、多岐にわたる環境で利用することが可能です。
Securify
Securifyは、診断スキルの高さが評価されているサービスです。セキュリティ専門人員が在籍しており、すでに他のサービスを利用している組織で新たに脆弱性が見つかったケースがあります。
診断後は、課題や改善策をひと目でわかりやすく確認できるように、報告書と動画を使って結果を報告します。紙媒体の報告書のみではわかりづらいという場合におすすめです。動画と合わせて見ることで、理解性を高められるでしょう。
また、報告書を提出した後も、改善した後のWebアプリケーションの脆弱診断にも対応してもらえます。報告書の提出後1か月間は、診断内容についての質問を受け付けているので、わからないことがあっても気軽に相談しやすいです。
SCT SECURE クラウドスキャン
SCT SECURE クラウドスキャンは、365日完全自動リモートで脆弱診断を行っているサービスです。脆弱診断は、世界各拠点にあるスキャニングサーバからインターネットを通じて実施されており、常に最新の情報で診断が行われます。
SCT SECUREによって脆弱性がないと診断された場合、Webアプリケーションなどのシステムに対して安全証明マークが配信されます。安全証明マークには最終診断日付が表示されており、Webアプリケーションの利用者にアピールできる点がメリットです。
また、世界10,000社以上の実績があり、政府機関サイトでも採用されています。国際的かつ最高水準のセキュリティ基準に準拠・適合しているため、信頼性を重視したい場合におすすめです。
Cloudbric 脆弱性診断
Cloudbric 脆弱性診断は、新たな脅威の把握が可能な脅威インテリジェンスサービスを扱っています。一歩先を行くサイバーセキュリティ対策が可能です。診断結果はオンラインでいつでも確認でき、110か国以上から収集した脅威インテリジェンスもチェックできます。
診断する技術者は、定期的に最新の脆弱性情報を収集・解析しているセキュリティのエキスパートです。画一的な自動診断ツールよりも精度が高く、組織に合わせた診断方法を提示してくれます。
また、Webアプリケーション診断の場合、診断にCVSSスコアに加え、EPSS情報も組み合わせることで、網羅的な評価スコアを算出します。基本評価基準・現状評価基準・環境評価基準による脆弱性を掛け合わせて、優先して対応すべき脆弱性を明確にしてくれます。
AeyeScan
AeyeScanは、セキュリティに関する知識を持っていない場合でも、簡単な操作で診断を実施できるサービスです。AI活用により診断の精度は高く、SaaS環境なので診断を開始した後は放置しても問題ありません。
また、充実の連携機能により自動巡回・スキャンも可能です。CI/CDツールとのAPI連携が可能なので、セキュリティテストの自動化が実現できます。
まとめ
Webアプリケーションのセキュリティを高めるには、定期的に脆弱性診断を受けて、脅威の有無を診断してもらうことが大切です。
脆弱性診断は、システムやWebアプリケーションのセキュリティホールを特定するプロセスであり、手動と自動のアプローチ方法があります。
サービス選定時には、診断範囲や精度、実績、アフターフォローなどを比較し、自社に合っているものを見ることが大切です。